Teardrops of the Tiger

勇気が出るブログ

日本人は脳の使い方も情緒的?

言語の分野において、日本人は西欧人とは違う脳の使い方をしているらしい。

 

ヒトには右脳と左脳があり、脳梁でつながっている。脳梁にスイッチのような役割が備わっていて、入ってきた音を音質によって左右の脳に振り分けている。角田忠信「日本人の脳―脳の働きと東西の文化」によると、母音やハミングなどの人の声と、虫や動物の鳴き声を、西欧人は右脳で聴くが、日本人は左脳で聴いているそうだ。大分過去の研究だが、興味深い。

 

しかし、日本人は母音やハミングなどの人の声や虫の声や動物の鳴き声を人の言語と同じように左脳で聴いているが、西欧人は雑音として聞いている、という理解には少し疑問がある。日本人は西欧人よりも情緒があるというニュアンスも、やりすぎに感じられる。

 

この本の中でも、右脳は音楽を聴く音楽脳という表現が頻繁に使われている。だったら西欧人は、母音やハミングなどの人の声や虫の声や動物の鳴き声を音楽として聴いているという解釈をするのが自然なのではないかと私は考える。機械音などの雑音として聴いているとする根拠についても見当たらない。

 

 

ヨーロッパの言語では単語に性がある。単語の性によって、それぞれ付く冠詞が違う。英語においても厳密に言うと性の名残がある。

 

ドイツの子供向けTV番組のキャラクターに“Die Maus”というのがある。ドイツ語でMausとは、ネズミを意味する。“Die”というのは女性名詞に付ける冠詞である。その名の通り、ネズミのキャラクターである。

 

この番組と同じ局で放送していた、あるクイズ番組を見た。お題が出され、それを表すヒントをチームメイトが回答者に伝えて、回答者がお題を当てるというものだった。このお題に“Die Maus”と出た時のことだった。子供達が一斉に“Frau!”というヒントを出していた。Frauとは女性のことだ。とぼけた表情をしたそのネズミのキャラクターは、女性らしさはなく少年っぽいので、男の子のイメージで私は捉えていた。が、女性名詞である“Maus”というのは、ドイツの子供たちの第一声に“Frau”と出てくるものだったのか。

 

日本語の名詞には性がない。冠詞もつかない。“ネズミ”という単語を聞いて、それがオスかメスか区別する人はいない。言語でのコミュニケーションにおいて、単語に性のある言語を母国語にしている人は、そうではない言語=例えば日本語を母国語とする人よりも、右脳を多く使う必要があるということがよく表れている例なのではないかと思われる。